「元本確保型」商品の落とし穴 何に気をつければいいのか?

(写真=Kelly Marken/Shutterstock.com)

厚生労働省の「平成27年簡易生命表」によると、日本人の平均寿命は男性が80.79年、女性は87.05年で、両者とも前年より上回っています。長寿なのは祝うべきことかもしれませんが、一方で少子化を考えると、国民年金の受給に不安を感じてしまう方もいるのではないでしょうか。

そこで個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」に加入して、個人年金を準備するのがいい方法の一つですが、運用商品の選び方によっては落とし穴もあります。老後資産形成のつもりが、逆に損することになっては本末転倒です。気をつけるべきポイントをみてみましょう。

iDeCo(イデコ)のメリット・デメリット

iDeCoは正式には個人型確定拠出年金といい、毎月決まった掛金を積立てする年金制度です。掛金は法律で職業別に決められた、上限額の範囲内で決めることができます。毎月払い込む「拠出額」が「確定」しているので、確定拠出年金というのです。

では将来受け取る年金額はというと、自分の運用成果によって変動します。加入を申込んだ金融機関が、iDeCo用に取り揃えている金融商品の中から自分で選びます。一つの商品に限らず複数の商品を選んで分配しても構いません。途中変更も可能なので、相場の状況をみながら上手く運用できれば、将来の年金額が大きく増える可能性がある、というのはメリットです。

しかしながら、運用が上手くいくとは限りません。自分の選び方が悪かった、という場合もあり得ますが、どんなに気をつけて選んでも、景気変動などで相場の下落に巻き込まれてしまう可能性は否定できません。

つまり、自分で運用するiDeCoには、年金額を増やせるメリットと、運用に失敗し元本割れするかもしれないデメリットがあるのです。

運用初心者には不向き?

投資や資産運用に慣れている人は別として、iDeCo加入者の多くが運用慣れしているわけではありません。公的年金に加入している人が加入できるということは、原則として日本に住む20歳以上60歳未満の国民に加入資格があるということです。しかし実際には投資経験がある方は多くありません。

一方、iDeCoには安心な面もあります。運用と聞くと、株式や投資信託などの値動きリスクがある商品が想い浮かびますが、そもそもiDeCoは公的年金に上乗せし、豊かな老後生活を過ごせるようにと設けられた制度です。リスクが低く、安全性の高い定期預金や生命保険などの、「元本確保型」商品も多くラインナップされているのです。

企業年金連合会が発表している「2015(平成27)年度決算 確定拠出年金実態調査結果(概要)」をみると、元本確保型商品と「投資信託等」の平均投資比率は、前者が約6割、後者が約4割となっており、元本確保型を選ぶ割合が多いということがわかります。

元本確保型商品の落とし穴

値下がりリスクを避けられるのは安心ですが、元本確保型商品を選んでおけば安心というわけではありません。

超低金利といわれて久しい現在、定期預金金利は銀行によって異なりますが、比較的金利が高めといわれるネット銀行でも年0.02%程度です(2017年6月現在)。iDeCoは付与された利息に課税されないという税制メリットがあるので、税金はゼロとなります。ところがiDeCoに加入すると一定の手数料がかかります。どこの金融機関で加入しようが、加入時に国民年金基金連合会に対して2,777円の加入手数料(初回のみ)、そのうえ毎月の掛金拠出時に同連合会に対して103円の手数料が徴収されるのです。

その他、運営管理機関(加入金融機関)に対しての手数料も必要です。運営管理手数料の額は金融機関によって0円~600円程度と幅があります。いずれにしろ、元本確保型商品だけでは手数料を上回るだけの利益を出すのは難しく、元本割れしてしまうことになるのです。

安全性と収益性をバランスよく目指そう

元本確保型商品を選んだとしても元本割れの可能性は否めません。上記に記載したのは運用選択の一例でこの限りではありませんが、コスト以上の利益や税優遇効果を得なければiDeCoへの加入はデメリットにもなってしまいます。

そうならないために、元本確保型の商品と投資性の商品をバランスよく組み合わせ、安定した収益を追求するのが好ましいでしょう。

投資信託の中にも「国内株式型」「国内債券型」「外国株式型」「外国債券型」などがあり、どの投資信託を選ぶかによってリターン確率は変わります。それぞれのリスクとリターンをしっかり確認してから、iDeCoに加入するようにしましょう。

>>イデコについてもっと詳しく知りたい方はこちら

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