いくら収入があったら夫の扶養を抜けてもいい?新配偶者控除・配偶者特別控除から考えてみよう

(写真=fizkes/Shutterstock.com)

「103万円の壁」ということばを聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。パートで働く主婦などが、パートナーの扶養に入っているために収入を抑える際に言及されることが多いようです。今回は、実際に扶養と収入にはどのような関係があるのか探ってみました。

パートで働く女性の半数以上が「103万円の壁」を意識

厚生労働省の「平成28年パートタイム労働者総合実態調査の概況」によると、配偶者がいる女性の22.8%が就業調整、つまり、年間で働く日数を抑えて収入が一定額以内になるように働く時間を調整しています。その理由の1位は「自分の所得税の非課税限度額(103万円)を超えると税金を支払わなければならないから」で、配偶者のいる女性の半数以上である55.1%が理由として挙げています。

2位は「一定額(130万円)を超えると配偶者の健康保険、厚生年金保険等の被扶養者からはずれ、自分で加入しなければならなくなるから」、3位は「一定額を超えると配偶者の税制上の配偶者控除が無くなり、配偶者特別控除が少なくなるから」と続きます。実はこの1位から3位の理由はすべて「扶養控除」と関わっています。

扶養控除って、そもそも何?

そもそも、「扶養控除」とはどういったものなのでしょうか。「扶養控除」とは、特定の条件を満たす扶養者がいる場合に、税金の控除や保険料の免除が受けられることを指します。扶養者には、配偶者や子どもなどが含まれます。

パートで働く主婦のなかで夫の扶養家族になっている場合は、夫が扶養控除を利用していると考えられます。ここでは、扶養控除を大きく2種類に分けて説明していきます。

● 所得税や住民税など税制上の扶養
パートナーの給与所得による年収が1,120万円以内で、配偶者が103万円以内の場合、パートナーの扶養に入ることで、38万円の所得税の控除が受けられる配偶者控除を受けることができます。また、配偶者の給与所得が年間103万円を超える場合も、約201万円以内であれば控除が受けられる配偶者特別控除もあります(2018年から)。

● 社会保険上の扶養
ここでの社会保険とは、健康保険と厚生年金保険のことを指します。パートナーの扶養に入ることで、社会保険料を支払うことなく健康保険や厚生年金保険に加入することができます。保険料を支払うことなく社会保障が受けられるのは大きなメリットと言えるでしょう。

扶養に入るべき?扶養から外れるべき?

「103万円の壁」と呼ばれるのは、2018年に配偶者控除と配偶者特別控除の改正が行われる前は、所得税が38万円控除される給与所得の境界線が103万円だったからです。今回の改正で150万円以内であれば、パートナーの年収により、最大で38万円の控除が受けられます。

今回の改正で変更となった新配偶者控除・配偶者特別控除の控除額

  1,120万円以下 1,170万円以下 1,220万円以下 1,220万円超
150万円以下 38万円 26万円 13万円 0万円
155万円以下 36万円 24万円 12万円 0万円
160万円以下 31万円 21万円 11万円 0万円
167万円以下 26万円 18万円 9万円 0万円
175万円以下 21万円 14万円 7万円 0万円
183万円以下 16万円 11万円 6万円 0万円
190万円以下 11万円 8万円 4万円 0万円
197万円以下 6万円 4万円 2万円 0万円
201万円以下 3万円 2万円 1万円 0万円
201万円超 0万円 0万円 0万円 0万円

※横軸は世帯主の年収、縦軸は扶養される家族等の年収

また、同じく税制上の扶養控除である住民税の控除が受けられるのは、収入が100万円以内の場合です。
ならば年収を100万円以内に抑えて扶養に入ったほうがよいと考えることもできますが、実際は税金の天引きによる手取りの減少額はわずかなため、そこまで気にする必要はないでしょう。ただし、パートナーの会社から家族手当が出る条件が年収103万円以下などの場合は、その手当がいくらなのかによっては、調整をする必要があるので要注意です。

気をつけたいのは収入が130万円未満になるかどうかということです。パートとして働く企業規模などによっては106万円未満の場合もあります。これは、ふたつめの扶養である、社会保険上の扶養が関係しています。年収が130万円(106万円)を超えると、パートナーの扶養から外れ、自分で健康保険や厚生年金保険の保険料を支払う必要があります。そのため大きく手取りが減り、扶養に入っていることで保険料が0円だったときよりも負担感が大きくなるのです。

社会保険料を自分で支払う場合、社会保険料天引き分だけ手取りが減ります。実質的に天引きされても手取り金額が扶養範囲内での収入額を超えるのは150万円〜160万円ほどとなります。子育てや介護で忙しく勤務時間が確保できない場合や、パートの時給によっては年間で150万円を超える収入を得るのは難しいという人もいるでしょう。その場合は、130万円未満に抑えるのがよいと言えます。

対して、年間150万円以上の収入を得られる環境ならば、健康保険料や厚生年金保険料を自分で支払い、世帯年収を上げたり、将来得られる自分名義の老齢厚生年金を増やしたりするのもひとつの戦略です。

環境や将来を考えて賢く働く

100万円、103万円、130万円、150万円など、扶養控除を意識した収入の境界線は複数あります。ライフステージによっては、子育てや介護などで思うように働けないこともあるため、このように働くのが一番よいとは一概には言えません。

ただし、たくさん稼げれば、家族も自分の将来も明るく楽しくなる可能性が広がるのは確かと言えるでしょう。自分の置かれた環境や、理想とする将来の姿などに合わせて、扶養控除を意識しながら賢く働いてみませんか。

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