退職金がなくても大丈夫!自営業者が活用できる年金・共済制度を紹介

(写真=Jack Frog/Shutterstock.com)

会社員の皆さんが、「年金が本当にもらえるかわからない。不安だ」と言っているのを耳にしますが、「もっと不安なのは私だ」とつぶやいているのが、自営業者です。なにも手を施さなければ、老後の年金も会社員と比べれば少なく、企業から退職金をもらうこともありません。しかし一見、不安定に見える自営業者の老後ですが、さまざまな仕組みを利用すれば、老後は安泰ということもありうるのです。

受け取れる公的年金は老齢基礎年金のみの自営業者

老後について会社員と自営業で大きく違うのが、公的年金制度です。会社員は厚生年金と国民年金の両方に加入しており、65歳以降は、老齢厚生年金と老齢基礎年金をダブルでもらえます。場合によっては、プラスで企業年金も受け取れるという手厚さ。これが2階建て、3階建てなどと言われるゆえんです。

一方、自営業者は国民年金にのみ加入しており、65歳以降は老齢基礎年金しか受け取れません。日本年金機構によると、現在、40年間国民年金に加入し、満額が支給された場合でも受取額は年77万9,300円にとどまります。1カ月あたりだと約6万5,000円。夫婦2人でも合わせて約13万円です。

これに対し、生命保険文化センターによると、老後、夫婦2人が日常生活を送るために使うお金は月額で平均22万円(出典:生命保険文化センター「生活保障に関する調査」/平成28年度より)だそうです。約9万円も足りないことになります。

iDeCo(イデコ)の掛金限度額は6万8,000円!

そこで老後資金の上乗せを考える際、まず資金づくりの候補となるのがiDeCo(個人型確定拠出年金)です。自営業者の場合、公的年金の受取額が少ないことを想定して、月々の掛金限度額は6万8,000円と破格の金額になっています。企業年金のない会社員と専業主婦の限度額が2万3,000円、公務員の限度額が1万2,000円と比べても、その高さがわかります。

もしも自営業者が満額の掛金をつぎ込めば、年間81万6,000円を拠出することになります。そして20年掛け続ければ、元金だけでも1,632万円にもなるのです。ただし、iDeCoは60歳まで引き出せないというデメリットがあります。急な出費や事業でお金が必要になっても、決して引き出しはできません。そういう意味では、満額を積み立てる人はそう多くはないかもしれません。

また、月6万8,000円の限度額は、国民年金保険の付加保険料や国民年金基金の保険料と合算の金額です。以前から自営業の2階建て部分の制度としてつくられている国民年金基金に加入しているのであれば、基金や保険料に積み立てている額から差し引いた額を限度として掛金にします。

自営業者の退職金代わり!小規模企業共済制度

会社員が定年を迎えた際にもらえる退職金も、老後の生活を豊かにしてくれるものです。退職金制度そのものをなくしている企業も出てきていますが、まだまだ多くの企業が支給しています。

自営業者の場合、定年もなければ、もちろん退職金もありませんが、事業を廃業するなど、65歳以降に自分で自分に対して退職金を支払えるよう積み立てをしていく制度があります。それが「小規模企業共済制度」です。

小規模企業共済は、個人事業をやめたときや小規模な会社等の役員を退職したとき、個人事業を廃業したときなどのために、退任後の生活資金をあらかじめ積み立てておくための共済制度です。制度は小規模企業共済法に基づいて、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しています。

月あたりの掛金は500円刻みで、1,000円から7万円の範囲で自由に選べます。掛金は税法上、全額「小規模企業共済等掛金控除」として課税対象となる所得から控除されます。また、小規模企業共済の掛金はiDeCoの所得控除枠とは別枠で計算されます。極端にいえば、iDeCoに月6万8,000円、小規模企業共済に月7万円をそれぞれ積み立てても、すべて所得控除となるわけです。

しかも、小規模企業共済では、払い込んだ掛金合計額の範囲内で事業資金などの貸付(担保・保証人不要)が受けられます。この点が60歳まで引き出しができないiDeCoとの大きな違いです。また、積み立てたお金(共済資金)は、共済資産として他の経理と区分して管理、運用されるため、自分で運用指示はできません。

たとえば、月1万円を30年間掛けて、事業廃業に伴い受け取るとすれば、単純計算で434万8,000円を受け取ることができます(中小機構の試算ページより)。月2万円なら倍の869万6,000円ですから、退職金としてはかなりまとまったお金になります。受取方法は一括でも、分割でも可能で、所定の条件を満たせば、一括なら退職所得控除、分割なら公的年金等控除の非課税制度が適用されます。

自営業者はiDeCo(イデコ)と小規模企業共済の「二刀流」で

自営業者はうまくバランスを取りながらiDeCoと小規模企業共済の両方に積み立てをしていくことが賢明なようです。両方の制度を活用して所得控除を受けながら、上手に老後の資金を確保しましょう。

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