転職したらどうすればいいの? 転職先別iDeCo(イデコ)手続き方法

(写真=pixelpeter/Shutterstock.com)

iDeCo(イデコ)では原則、60歳までお金を引き出すことはできませんから、その間に転職を経験する人もいるでしょう。iDeCoには年金資産の持ち運びができる(ポータビリティ)という特徴があり、転職や離職をしても手続きをすれば移換先で運用を継続できます。今回は転職時に必要な移換手続きについて解説します。

iDeCo(イデコ)では「被保険者種別」が重要なポイント

そもそもiDeCoは公的年金制度を補完するために作られた制度であるため、両者は密接に関わっています。公的年金制度では職業によって「被保険者種別」が定められており、iDeCoでもこの被保険者種別によって拠出限度額が決まっています。自営業者や学生、無職の人などは「第1号被保険者」、会社員や公務員などは「第2号被保険者」、第2号被保険者に扶養されている配偶者は「第3号被保険者」と定められています。転職によって、職業や勤務先、被保険者区分が変更になる場合には、iDeCoに加入している金融機関へ必ず届け出なければなりません。

特に気をつけなければいけないのが、第2号被保険者になる、第2号被保険者ではなくなる、第2号被保険者のままであっても勤務先が変わるという場合には注意が必要です。転職先の企業年金制度によってiDeCoの利用が制限されているケースなどがあるためです。それでは、具体例を見ていきましょう。

会社員から自営業になる場合

会社員として働いている人の中には、いずれ独立するつもりで経験を積んでいる人もいることでしょう。あるいは、いきなり脱サラして自分で事業を起こす人もいるかもしれません。もし、会社員時代からiDeCoに加入している場合には、自営業者になった後も継続して加入が可能です。ただし、職業が変わったことを必ず届け出なければなりません。その際「加入者被保険者種別変更届」という用紙が必要になります。また、第1号被保険者になれば、年間の掛金上限額も年間81万6,000円に上がりますから、掛金額を変更する場合には「加入者掛金額変更届」の提出も必要です。

もし、会社員時代に企業年金に加入していたという場合には少し手続きが複雑になります。企業年金には「企業型確定拠出年金(=企業型DC)」「厚生年金基金」「確定給付企業年金」など様々な種類があり、それぞれに必要な手続きが異なります。企業型DCとは、iDeCoの企業版のようなもので、会社拠出か個人拠出かの違いはありますが、受け取りまで自分で資産の預け先を選んで運用するといった基本的な仕組みは同じです。

60歳までは資産が受け取れない点もiDeCoと同じなため、60歳以前に退職して自営業者になる場合には、その資産をiDeCoに預け替えて自分で運用していくことになります。まずはiDeCoに加入する金融機関を決め、口座開設をしたうえで、「個人別管理資産移換依頼書」の提出が必要となります。厚生年金基金や確定給付型企業年金などに加入していた場合も、脱退一時金をiDeCoに移換できるケースもあります。転職の際は必ず会社の担当者に確認するなどして、必要な手続きを調べるようにしましょう。

専業主婦から会社員になる場合

結婚や出産を機に専業主婦になった人もいるでしょう。しかし、子どもが学校に通い始め自分の時間が持てるようになると、また働きに出ようかという気持ちが湧いてくるものです。もし、専業主婦から会社員になった場合、加入しているiDeCoはどのような手続きが必要なのでしょうか。

このケースも、就職先に企業年金があるかどうかで変わってきます。まず、企業年金がない場合にはiDeCoの継続ができます。その際、第3号被保険者から第2号被保険者に変更になるので「加入者被保険者種別変更届」と、就職先に記入してもらった「事業所登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書」の提出が必要となります。

企業型DCがある会社に就職する場合には、確定拠出年金は1人1口座という決まりがあるため、iDeCoの加入資格がなくなります。金融機関に「加入者資格喪失届」を提出し、iDeCoの資産を企業型DCに移し替えなくてはなりません。ただし、企業型DCのある会社に就職する場合でも、企業型確定拠出年金規約でiDeCoへの同時加入を認めていることがあります。iDeCoの継続ができるので、企業年金がない会社へ就職する場合と同様に、「加入者被保険者種別変更届」と、就職先が記入した「事業所登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書」を提出すれば問題ありません。また、転職先に確定給付企業年金制度がある場合にもiDeCoの資産を移換できるケースがあります。移換の可否については、就職先の担当部署に確認するようにしましょう。

転職の際は人事や労務担当者に確認を

近年、転職してキャリアアップするという働き方が当たり前になってきました。年金資産を持ち運ぶことができるiDeCoは、企業年金の受け皿になるなど時代にマッチした制度だといえます。特に会社員になる、会社員が転職する場合で企業年金があるという時には個別の対応が必要なので、必ず会社の担当者に確認をとりながら、スムーズに移換手続きができるようしっかりと準備をしましょう。

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