iDeCo(イデコ)は誰でもスタートできる? 加入資格と注意するポイント

(写真=PHOTOBUAY/Shutterstock.com)

個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」は、老後の資産形成を考えるための有効な選択肢だといえます。老後の生活を支えるための準備として、活用しようとする人も増えているようです。iDeCoへの加入は、原則60歳未満で公的年金に加入していれば誰でも可能です。ただし、企業年金との兼ね合いなどから加入が認められないケースもあるので気をつけておきましょう。今回は、iDeCoの加入条件や注意点なども含めて、その特徴について解説していきます。

iDeCoの仕組みと得られるメリット

iDeCoは、個人型確定拠出年金の略称および愛称です。一言で説明するなら、「自分で掛金を拠出して運用する年金」といったところでしょう。60歳までの間に、毎月一定の金額の掛金を拠出して、投資信託・定期預金・保険などの金融商品に投資して年金を積み立てていきます。60歳を超えた時点で、それまでの掛金と運用益を年金として受け取ることができる仕組みです。

iDeCoの特徴として、課税に関するルールが一般的な投資と異なる点があげられるでしょう。まず、掛金が非課税となるのが大きなメリットでもあります。掛金として拠出した分の金額は所得控除されるためです。iDeCoへ拠出した資産は、いずれ年金として戻ってくるものですから、所得控除を受けた分だけ節税になるわけです。さらに、60歳を超えて実際に年金を受け取るまで、運用益にも課税されません。本来、投資によって得た利益に対しては、20.315%の税が課されるものです。しかし、iDeCoを利用して利益を得たとしても、課税されないため、利益がそのまま資産になります。

また、年金を受け取る際にも税制面での優遇があります。iDeCoでは受取方法として、預けた資産を一括で受け取る「一時金」と一定額を毎月受け取る「年金」、そして「一時金と年金の併用」の3種類があります。一時金方式で受け取る場合は「退職所得控除」が適用され、年金および併用方式では「公的年金等控除」の対象です。拠出する段階で所得控除を受けられ、運用益への課税もなく、さらに受取時には控除も受けられるため節税効果は大きいといえるでしょう。

iDeCoへの掛金は、最低額が毎月5,000円となっています。つまり、月々5,000円を拠出する余裕があれば始められるわけです。iDeCoを通じて運用を行う場合、投資信託と呼ばれる金融商品も投資対象となります。投資信託はリスクのある金融商品で、元本確保型の商品と比較して高いリターンを期待できる一方、元本割れのリスクがあります。iDeCoで購入できる投資信託は、一般的な投資信託購入と比較すると、手数料などが低く抑えられる点もメリットでしょう。iDeCoが対象とする投資信託は、信託報酬などの運用期間中にかかるコストの低いものが選ばれているようです。資産運用において、投資コストが低いというのは、それだけ利益を出しやすいことを意味します。投資初心者にとっても、iDeCoは資産を増やしやすい環境が整っているといえるでしょう。

加入資格の基準と対象年齢

iDeCoへの加入資格は、国民年金や厚生年金などの公的年金に加入していることが前提条件です。iDeCoは、そうした公的年金だけでは老後の生活に不安がある人のためのものですから、公的年金への加入をせずにiDeCoのみを利用することはできません。iDeCoに加入する際、雇用形態は関係ありません。会社員・自営業者・学生・専業主婦(主夫)・公務員など、ほとんどの人が加入できる仕組みになっています。派遣社員やパート・アルバイトであっても加入可能です。雇用形態についての制限はほとんどありませんが、年齢については原則20歳以上60歳未満と定められています。いわゆる現役世代といわれる人であれば、そのほとんどがiDeCoを利用できるため、老後の備えとして活用する人も増えてきているのです。

iDeCoに加入できるかを判断したりシミュレーションを行ったりするには、「iDeCo加入者診断&節税シミュレーション 」という診断ツールを使うこともできます。あらかじめチェックして、ポイントをつかんでおきましょう。

iDeCoに加入できない3つのパターン

iDeCoに加入できないケースには、主に3つのパターンがあります。まず、国民年金保険料をきちんと支払っていない人は加入できません。「支払っていない」というのは、未納状態だけではなく、減免を受けている場合も含まれます。学生納付特例制度を利用して、保険料の納付が免除されている場合も同様です。未納あるいは減免状態にあるということは、年金を納めるだけの経済的な余裕がないはずです。

そういった状況にありながら、iDeCoに資産を拠出するというのは矛盾があるためです。減免を受けている人の場合、減免措置が終わり、きちんと年金保険料の支払いを行えばiDeCoに加入できるようになります。あくまで、減額・免除を受けている時期のみ加入ができないだけであり、将来にわたって加入できないわけではないので間違えないようにしましょう。 2つ目は居住地が国外である場合です。iDeCoへの加入には、「日本国内に住んでいる」という条件を満たす必要があります。なお、海外在住の人が国民年金を利用するためには強制加入から任意加入に切り替える方法がありますが、そうした手続きをしてもiDeCoへの加入は認められません。そして、3つ目は年齢が60歳以上の場合です。iDeCoへ掛金を拠出できるのは60歳までと規定されているため、60歳以上の人が新たに加入することはできないので注意しておきましょう。

会社員の場合に押さえておきたい注意点

原則として、会社員であってもiDeCoへの加入はできるとされています。しかし、実際には加入ができない、あるいは特定の条件をクリアしなければ加入できない場合があります。会社員の場合、勤めている会社を通じて企業型確定拠出年金に加入していると、iDeCoへの加入が認められない可能性があるからです。ただし、企業型確定拠出年金とiDeCoの併用が企業の年金規約によって認められていれば、両方に加入することができます。また、企業型確定拠出年金には「マッチング拠出」と呼ばれる制度を導入しているケースがあります。本来、企業型拠確定出年金は掛金を企業が負担する仕組みです。

ただ、企業による掛金だけでは、加入者によっては不十分に感じることもあります。それを埋め合わせるため、企業の掛金に社員個人が掛金を上乗せできる制度がマッチング拠出です。この制度自体は便利なものですが、マッチング拠出を採用している会社ではiDeCoへの加入は認められません。会社員がiDeCoへの加入を検討する場合、あらかじめ勤務先の担当者に確認をしておくことも重要でしょう。

iDeCoを賢く活用するためのポイント

iDeCoは国が定めた資産形成のための制度です。国民年金や厚生年金と合わせて、老後の生活を保障するための制度であると考えられており、税制面の優遇が手厚いという特徴があります。一般の年金とは違い自分で資産配分を決めることができるため、上手に資産運用ができれば掛金を超える資産が戻ってくる可能性があります。しかし、資産運用は1つだけの方法に頼るべきではありません。iDeCoはメリットの多い年金制度ではありますが、デメリットもあります。もっとも大きいのは、60歳になるまで掛金を引き出せないという点です。解約自体が原則として不可能なため、拠出した資金は60歳になるまで運用以外で活用できない資産になります。つまり、iDeCoの掛金については「老後まで使わないお金」になると覚悟しなければいけません。

確かに老後への備えは肝心です。しかし、人生におけるリスクは老後だけにあるわけではないでしょう。資産運用は、さまざまなリスクに備えることが大切です。自由に引き出せる資産としての「預金」や、iDeCoでは取り扱いのない商品への「投資」なども含めて、いくつかの運用方法を使い分けるようにしましょう。投資に関しては、少額投資非課税制度「NISA(ニーサ)」などの優遇制度もあります。iDeCoのメリットを活かすためにも、iDeCoだけに頼らないことが大切です。

自分の老後資金について真剣に向き合おう!

iDeCoは毎月5,000円という少額から始められる資産運用方法です。国が定める年金の1つであり、課税に関しても優遇措置が多いため、資産を増やしやすい仕組みになっています。「人生100年時代」とまでいわれ始めているなかで、60歳以降の生活について早い段階から考えておくことはとても重要です。老後資金の準備をするための手段として、iDeCoを含めた資産形成について真剣に考えてみましょう。大切なのは、さまざまな制度や仕組みを理解したうえで、自分に合った選択肢を見つけることなのです。

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