老後に備えて資産形成を始めよう!個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」のメリットとは?

(写真= goodluz/Shutterstock.com)

60歳から受給可能だった年金も、受給開始年齢が徐々に上がっており、老後の生活資金に不安を抱く人も多いのではないでしょうか。老後の生活資金として資産形成ができる個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」が注目されています。iDeCoは自分で掛金を拠出して運用方法を選び、掛金とその運用益との合計額を基に給付される制度で、投資初心者でもできる資産形成です。ここではiDeCoがどういった制度なのかを解説します。

1. 年金の種類や仕組みをおさらいしよう!

年金にも国民年金や厚生年金、年金基金などの種類があります。また、同じ国民年金であっても被保険者区分によって分類されており、日本に住所を持つ20歳以上60歳未満の人は年金を支払わなくてはいけません。年金制度が分かりにくいという人のために、まずは年金の基本的な種類や仕組みについて説明します。

1-1.国の年金

年金の中でベースとなるのは、毎月国に支払っている公的年金です。公的年金は日本に住所を置いている20歳以上60歳未満のすべての人が支払わなければなりません。「日本に住所を置いている20歳以上60歳未満」ですので、外国籍の人であってもこの条件に当てはまれば支払い義務が発生します。逆に、海外居住の日本人には支払い義務がありません。公的年金にも種類があり、一般的に1階部分と説明される国民年金は自営業や学生、専業主婦なども含めたすべての人に支払い義務があります。厚生年金は企業に勤める会社員が、共済年金は公務員や私立学校の教職員などが支払う年金です。

老後、所定の年齢に達してから受け取ることのできる年金額は支払った額に応じて計算されます。例えば月額30万円の基本給の厚生年金被保険者が40年間支払った場合、受給できる金額は国民年金と厚生年金を合算しても月額約13万円です。総務省統計局によると単身者の平均的な生活費は16万3,000円ですので、3万3,000円不足していることになります。個人型確定拠出年金であるiDeCoに加入するとその足りない分を補える可能性があるのです。

1-2.企業の年金

企業年金とは、企業が拠出して行う資産形成のことです。拠出する掛金は個人ではなく企業で負担し、運用収益が年金として従業員に給付されます。確定給付企業年金や確定拠出年金などの種類があり、すべての企業が加入しているわけではありません。確定給付企業年金は2002年から始まった年金制度で、運営は企業が行います。従業員が受け取る給付額があらかじめ約束されているのが特徴です。企業型の確定拠出年金は企業型DCや日本版401kと呼ばれる年金制度で運用は自分で行います。運用収益が将来の給付金となる制度は個人型確定拠出年金であるiDeCoと同じです。

1-3.個人の年金

個人の年金(通称個人年金)とは、保険会社が運営する年金のことです。積み立てた保険料を老後に年金として受給できるようになります。税制適格要件を満たすと一般的な生命保険料などの控除とは別に個人年金保険料の控除を受けることが可能です。個人年金は10年や15年など決められた期間のみ受給できる「有期年金」や一生涯受け取ることのできる「終身年金」などさまざまな種類があります。

2. 確定拠出年金とは?確定給付企業年金との違いは?

企業型の拠出年金には確定拠出年金と確定給付企業年金の2種類があります。どちらも加入する企業に勤める従業員が受給できる年金制度です。この段落では、確定拠出年金と確定給付企業年金の違いを簡単に説明します。

2-1.確定給付企業年金との違い

確定給付企業年金は企業が支払う掛金を生命保険会社や信託銀行などが運用します。受給できる年金の額がある程度約束されているのが特徴です。運用方法によっては金額が約束された額よりも増額する可能性があります。

一方、確定拠出年金は通称、企業型DCと呼ばれており企業や加入者が拠出した掛金を自分で運用する年金です。約束された金額はなく、運用方法によって給付される年金が増減します。どちらも企業で加入する必要がありますが、確定給付企業年金は勤めている従業員すべての同意が必要です。企業年金に加入しているかどうかは入社案内や就業規則、総務部などで確認できるでしょう。

2-2. 確定拠出年金の給付金

確定拠出年金に加入した場合は老齢給付金や障害給付金、死亡一時金を受給が可能です。老齢給付金は60歳になると支給される年金で、場合によっては一時金として一括で支払われることもあります。障害給付金は障害等級1、2級以上の高度障害になったときに支給される年金です。こちらも一時金として一括で支払われる場合があります。死亡一時金は死亡したときに支給される一時金です。本人が受け取ることはできないため、3親等以内の遺族が受け取ります。

3. 確定拠出年金の種類は?個人型と企業型の違い

確定拠出年金にはiDeCoと呼ばれる個人型と企業型DCや日本版401Kと呼ばれる企業型があります。どちらも自分で資産運用を行い、収益から年金額が決定するという点は同じです。では、個人型確定拠出年金と企業型確定拠出年金にはどのような違いがあるでしょうか。

3-1.個人型確定拠出年金(iDeCoイデコ)

iDeCoは月額5,000円から被保険者種別ごとの決められた上限額まで、自分で拠出する掛金の額を決めることができます。また、掛金を全額所得控除できるなどがメリットです。確定給付企業年金に加入している場合はiDeCoに加入できますが、企業型の確定拠出年金に加入している場合はiDeCoには加入できない可能性があります。iDeCoは会社員だけでなく、自営業者や主婦なども加入でき、投資の初心者でも始めやすい資産形成の方法です。拠出限度額は決められており、専業主婦であれば月額2万3,000円までになります。受給額は掛金に収益を上乗せした額です。例えば、月額2万円の掛金を10年間続け、収益が100万円出た場合は340万円の年金を受給できるということになります。

3-2.企業型確定拠出年金(DC)

企業型DCは企業が特定のルールに沿って掛金の負担を行います。掛金は税制上会社の損金として処理することが可能です。加入対象者は会社に勤めている人になります。掛金は会社が負担している場合と会社と社員の両方が負担している場合があるため注意が必要です。給与明細などに社員負担分などの記載があれば従業員と会社の両方で負担しているということです。企業DCは勤め先の会社が加入している制度のため、転職する場合は手続きが必要になります。

4. 個人型確定拠出年金のメリットと注意点を押さえておこう!

iDeCoの制度について分かったところで、実際にiDeCoに加入して資産形成する際のメリットやデメリットが気になる人は多いでしょう。この段落では、個人型確定拠出年金iDeCoのメリットと注意点を解説します。

4-1.個人型確定拠出年金のメリット

積み立てた掛金と収益を受給できるiDeCoは一般的な貯金が苦手な人に向いている資産形成です。投資信託や定期預金、保険などの金融商品を選んで運用することで、掛金と運用益が60歳以降に年金として給付されます。ここではiDeCoのメリットを解説します。

4-1-1.所得控除が受けられる
iDeCoは毎月支払った掛金が全額所得控除の対象となります。所得控除分は自営業者であれば確定申告で、会社員や公務員であれば年末調整で還付される可能性があります。そのため、会社員や公務員の人は勤め先に書類を提出する必要があります。iDeCoは自営業者であれば月6万8,000円まで、会社員であれば月2万3,000円まで拠出が可能です。例えば、年収250万円の単身者が月額2万円の掛金でiDeCoに加入していた場合、所得税と住民税の合計値は年額で約36万円となります。加入していなかった場合は約41万円になることから、5万円前後節税できることになります。

4-1-2.運用益が非課税になる
通常、定期預金や投資信託、株などの金融商品で利益が出た場合は分離課税として20.315%が徴収されます。100万円の収益が出ると20万3,150円が税金として徴収されるため残りの79万6,850円しか受け取れないのです。しかし、iDeCoでは運用益も非課税となるため、利益をすべて受け取ることができます。

4-1-3.受給時にも税金控除が受けられる
確定拠出年金の給付金は年金や一時金として受け取ることになりますが、この際にも税金控除を受けることができます。年金は所得対象のため65歳未満の場合は年間70万円以上、65歳以上は120万円以上の年金収入があると所得税の徴収対象となります。しかし、iDeCoを年金として受け取る場合は、ほかの公的年金で受給する額と合わせて公的年金控除とすることができます。

一時金で受け取る場合は、退職金の金額と合わせて退職所得控除とすることが可能です。iDeCoを年金として受け取る場合の受給開始年齢は60歳からになります。そのため、65歳までは特別支給の老齢厚生年金とiDeCoの2つの合計を、65歳以降は老齢基礎年金と老齢厚生年金、iDeCoの3つを合計して公的年金控除とすることができるのです。

4-2.個人型確定拠出年金の注意点

iDeCoの拠出金は原則60歳になるまで引き出すことができません。また、iDeCo加入者期間と企業型DC加入期間を含んだ運用指図者期間を合算した通算加入期間が10年未満の場合は、受給開始年齢が60歳よりも繰り下げられます。また、資産運用の結果によっては受け取れる年金が少なくなるなどの恐れもあります。しかし、老後の資産を途中で引き出すことができないことから、老後の資金を確実に貯められると考えることもできるでしょう。投資信託で運用した場合は元本割れの可能性もありますが、預金や保険など元本確保型の商品で運用することも可能です。元本確保型の商品であれば約束した期限が到来したときには元金合計額と利息の返還が見込めます。

5. 個人型確定拠出年金の加入条件は?

2017年1月までは公務員や専業主婦はiDeCoに加入することはできないなどの条件がありましたが、法改正により加入できる対象者が広がっています。この段落ではiDeCoの加入条件を説明しますので、加入できるかどうかを確認してみましょう。

5-1.対象となる人

iDeCoがスタートした当初は、勤め先が企業年金に加入していない会社員や自営業者のみが対象でした。2017年1月に法改正が行われ、会社員や自営業者以外にも公務員、専業主婦が加入できるようになっています。しかし、企業型DCに加入している会社員はiDeCoとの併用が認められていない場合もあるので注意が必要です。

5-2.対象外となる人

iDeCoに加入できない人は国民年金保険料を支払っていない人や60歳以上の人です。国民年金保険料は未納だけでなく免除されている人も含まれます。ただし、障害基礎年金を受給している場合は加入できるという例外もあるため注意が必要です。また、海外在住の人は日本国籍を持っていてもiDeCoに加入できません。また、社会人であっても会社で加入している企業型DCがiDeCoへの加入を認めていない場合があります。農業者年金に加入している場合もiDeCoには加入できないため気を付けましょう。

6. 個人型確定拠出年金の加入方法と運用方法

iDeCoに加入するには、手続きが必要となります。また、加入した場合は複数の商品の中から選択し、資産形成を行わなければなりません。どのようにすればいいか分からない人のために、この段落ではiDeCoの加入方法と運用方法を説明します。

6-1.加入方法

iDeCoは銀行や証券会社、保険会社などの金融機関で取り扱っており、手数料や取り扱っている金融商品、サービス内容などは金融機関で異なります。加入するには、保険会社や金融機関に資料の請求を行い、入手した申込書に記入、記名、押印を行います。完成した申込書を送付するとiDeCo専用の口座が開設されます。申し込みをしてから加入まで2カ月程度はみておきましょう。

6-2.運用方法

iDeCoは複数の金融商品を選び運用していくことになります。選択できる商品の数は変更することができ、種類も豊富です。どうやって運用すればいいか分からない人のために、iDeCoの運用方法を述べていきます。

6-2-1.定期預金
定期預金は元の掛金が保障されているため、安心して運用できる金融商品の1つです。リスクがある運用はしたくないという人や投資のやり方が分からない初心者に向いています。安心して運用できる一方で収益が少ないのがデメリットです。

6-2-2.投資信託
投資信託は掛金の保証はありませんが値上がり益も期待できる商品です。ただし、リスクを十分理解したうえでの投資が必要となります。投資信託は種類が多く、国内外の株式や債券をはじめ不動産投信などでの運用が可能です。

7. 個人型確定拠出年金の運用方法は自分で選べる!

iDeCoには、運用益が非課税であることや拠出金が税金の控除に利用できるなどのメリットがあります。運用方法も初心者向けの元本が保証されている商品から、リスクは高いけれど高い収益になる可能性のあるものなどさまざまな商品から選べます。老後のたくわえとしてiDeCoへの加入を検討してみましょう。

>>イデコについてもっと詳しく知りたい方はこちら

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